子どもを褒めることは成長を促すうえでとても効果的です。
教育心理学の用語の中に『ピグマリオン効果』という言葉があります。教員採用試験にも出される言葉なので多くの先生方は知っていますよね。またの名を教師期待効果とも言います。
ピグマリオン効果とは、ハーバード大学のロバート・ローゼンタール教授が実験により「教師の子どもに対する期待は(たとえそれに根拠がなくても)子どもの学力の向上に影響する」ことを明らかにしたものです。
子どもにとって教師からの期待は【褒められること】によって感じます。つまり、ピグマリオン効果を狙うなら適切に褒める能力が必要になるということです。
しかし、何でもかんでも「すごい、すごい」と褒めてしまうと、実力を伴わないナルシストになってしまう危険性があります。
では、どのようなことに注意して褒めるのがいいのでしょうか。
今日は、その褒め方について考えていきましょう。
効果的な褒め方
効果的な褒め方のポイントは3つあります。
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褒め方を先生にとって必須の知識であり、上手に褒めることができれば、子どもの学力は伸びるし、問題行動も減るし、保護者からも信頼されます。メリットしかありません。
メリットはたくさんあるのにデメリットは…思いつきません。
ぜひ、これから紹介する3つのポイントを抑えて一緒に褒め上手になりましょう。
すぐに褒める
自分が褒められる場合を想像してほしいのですが、次の2つうちどちらが嬉しいですか?
- やったことに対してすぐに褒めてもらう場合
- 一日経ってから褒められる場合
多くの場合、頑張ってやったことに対してすぐに褒めてもらいたいですよね。
行動主義心理学の学習へのアプローチで「即時確認の原理」という考え方があります。褒めるにしても注意するにしても「即時」が大事だということです。
なぜなら、やったことに対しての感覚や意識がまだそこにあるからです。
一日中怒りっぱなしになることができないように、感覚や意識は時間が経てば経つほど薄れていきます。
薄れた感覚や意識に対して褒めたところで効果が望めません。
良いところを見つけ出しすぐに褒めることを意識していきましょう。
能力より努力を褒める
これもよく言われることですよね。
「テストの結果に目を向けるのではなく、そこに至るまでの過程に目を向けなさい。」
これは、コロンビア大学の教授が小学校5年生を対象にした実験で明らかになっています。
テストの成績が良かった子どもに2種類の言葉がけをしました。
- 「あなたは頭がいいのね」
- 「あなたはよく頑張ったね」
一見どちらも同じように褒めているように見えます。
しかし、「あなたは頭がいいのね」と言われた子はその後の成績は下がり、「あなたはよく頑張ったね」と言われた子は成績が伸びる傾向がありました。
この違いはなんでしょうか。
「あなたは頭がいいのね」というのは、学力が自分の(元々備わっている)能力によって決まっているという価値観を強めてしまいます。
一方、「あなたはよく頑張ったね」というのは、学力が自分の努力によって決まるという価値観を強めます。
つまり、変えることができない能力にフォーカスするのではなく、変えることができる努力にフォーカスさせることが大切なのです。
考えてみれば当たり前ですよね。
「才能ないよ」と言われてしまったらもう諦めるしかありませんし、「あと少し頑張れば大丈夫」と言われればもっと頑張ろうと思いますよね。
さらに、この実験には続きがあって、「能力」を褒められた子は自分の結果にウソをつきやすくなったりすぐに諦めるようになったりしました。一方、「努力」を褒められた子は粘り強く物事に取り組むようになりました。
同じ『褒める』でも、「能力」と「努力」のどちらにフォーカスするかでその後の子どもの頑張りに天と地ほどの差が生まれてしまいます。
この点は先生として抑えておきましょう。
過去と現在を比べる
褒めるときにやりがちなのが「比べる」こと。
しかし、これはやってはいけません。
なぜなら、比べることに慣れてしまうと、常に競争の中に身を置き、自分以外全てが敵に見えてしまうからです。
もちろん、切磋琢磨するようなライバルの存在は重要です。
しかし、相手が全て敵だと意識しすぎると、自分が努力して成長することより、相手を蹴落とすことに一生懸命になってしまう危険性が出てきてしまいます。
そうならないためにも、比べる相手は常に『過去の自分』にします。
過去の自分と比べて、努力する時間が増えた、点数が高くなった、計画通りに取り組めた、というように考えていきましょう。
他人を倒してしまうと、ゾンビのように復活してきて自分の足を引っ張るようになりますが、過去の自分を倒せば経験値として確実にレベルアップしていきます。
過去の自分について知るためには、毎日の記録が必要です。
記録のためには日記です。日記というと、ダサいとかめんどくさいという印象を持っている人もいるかもしれません。しかし、日記こそ、自分の過去と戦うための必需品です。
自分が過去にどんなことをやったかが日記をみれば一発でわかります。
それより少しでも努力することができていれば、過去の自分に勝ったということです。
僕も、毎日日記を書いています。今日で1070日目です。もう少しで3年目です。1年前の今日何をしていたかが一発でわかるので時々見返すと楽しいです。
日記についての記事もあります。→【教員おすすめ習慣】あらゆる悩みを解消する習慣【日記】
今は、一ページに◯年分書ける日記もあるので、もし気になった方がいればチェックしてみてください。
まとめ
今日は先生にとって必要な効果的に褒めるポイント3つを紹介しました。
もう一度見てみると、
- すぐに褒める
- 能力より努力を褒める
- 過去と現在を比べる
この3つです。
特に覚えておきたいのが3つ目の『過去と現在を比べる』ということです。
これは、朝の会や帰りの会、授業で何度も子どもたちに話して聞かせるとともに、先生自身にも覚えておいて欲しいことです。
毎日の頑張りを日記に記録しておくと、先生としての成長も実感できるようになります。
先生という仕事はとても大変ですが、成長を実感できると「もう少し頑張ろうかな」という気持ちになります。
これからも一緒に頑張っていきましょう。
何かしら参考になれば幸いです。