夏休み明けの学校生活は、生徒一人一人に気を配らなければなりません。特に今年は新型コロナウイルスの影響でオンライン学習や分散登校などの対応で9月が始まりました。
ただでさえ、この時期の生徒は不安定になりやすいです。
そこで、今日は子どもの変化のサインを読むヒントとしてチェックリストを紹介します。生徒の言動や態度・状況から、サインを読み取りチェックしてきましょう。一つでも気になる項目があれば、その生徒への何らかのかかわりと適切な指導援助が必要です。
チェックするサイン20
以下のサインをチェックしてみてください。
- 一人でぼんやりしている場面が多い
- 顔色が悪く、元気がない
- 学習用具や宿題などの忘れ物が目立つ
- 遅刻や早退が目立つ
- 授業中にぼんやりしていることが多い
- 教師の居る・居ないで態度が大きく違う
- 身体の不調を訴え、保健室によく行く
- すぐにイライラした態度をとる
- 友達とよくトラブルを起こす
- 無口になり、友人ともあまり話をしない
- 掃除や当番を真面目にやらない
- 時間に遅れるなど、集団行動がとれない
- 学校行事や部活動などを楽しんでいない
- 授業中に立ち歩き・お喋りが目立つ
- 教師の話に目をそらすことが多い
- 嘘をついて、その場をしのぐことがある
- 非行グループとのできごとをよく話す
- 隠語や大人びた言葉を使う
- ピアスをしたり、茶髪にしたりしている
- 服装が派手で、高価な物を持っている
チェックリストは厚生労働省のこころもメンテしようを参考にしています。
サインの読み取り
チェックリストのサインをどの程度の認識で読み取るのかが教師の力が問われます。チェックしたサインを見て、そこからさらに深く考察する視点が必要です。以下のような視点をもち生徒理解を深めていきましょう。
他の項目とどのように関連しているか
例えば、1のチェックがあって、2や5、7、10などの項目が気になる場合、1学期の「いじめ」を引きずっていることが考えられます。また、2、4や7、13などがチェックされる場合、不登校の予備的な状況が考えられたり、夏休み中の家庭生活の不規則さが思い浮かんだりします。2学期になって新しい環境を求めているかもしれません。
個別的なのか、集団なのか
1や2がチェックされる場合、友人関係や性的なことで悩んでいることがあるかもしれません。5や6、16などにもチェックが付くとその可能性が高まります。また、17がチェックされている場合、その言動の背景が、夏休み中の動きと関係し、他校の生徒などとも集団化しているかもしれません。そして、18、19、20とも関係している場合があります。中には、本格的に非行化することもありますので、兆候が見えたらすぐに対応していきましょう。
友人関係がこじれていないか
8、9、10などは、友人関係がこじれるかもしれない兆候です。夏休みとその前後は、生徒の友人関係が多様化・複雑化する時期です。勉強や部活動、趣味、進路などを通して親友を得ることもあります。逆に、このような場面で仲たがいやケンカなどになると、それらのサインとして表れることがあります。
勉強への関心が失われていないか
3、5などがチェックされる場合、勉強への関心が失われている可能性があります。そして、11、12、14などにも影響し、学校生活を乱すような言動をとります。また、6、15などのように教師への態度や勉強の態度の悪化に関係してきます。状況として、学級崩壊や個々の生徒の成績の低下に繋がることが少なくありません。
以上4点以外にも、内向的な生徒が急に反抗的な態度や言動をとったり、逆に外向的な生徒が夏休みを機におとなしく内気になったりする場合にも注目する必要があります。
対応のポイント
上のチェックリストでチェックし分析をしたら対応に移っていきます。具体的には3つのポイントがあります。以下に3つ示していきます。
1.個々の内面をよく聴く
サインとして教師が見聞きするのは、その生徒の氷山の一角だということを頭に入れておきましょう。その生徒の本当になりたい気持ちや考えは、その水面下にある場合が少なくありません。生徒自身が無自覚ということもあります。生徒の話をよく聴き、無条件に受け入れ、生徒の感情を言語化していきましょう。生徒の行動や思いを肯定的に受け止め、教師自身が純粋な心で生徒に向き合うことです。この関係が上手くいっていると、生徒自身が、自分はこんなことをしたい、こんなふうに反省している、友達や教師に振り向いてほしい気持ちがあったなどの気持ちに気づいていきます。結果、夏休みの不規則な生活を立て直そうとする意識、2学期からの新しい自分を生き直そうとする気持ちが芽生えます。
2.具体的な言動にかかわる
休み明け、イライラして暴力を振るう、掃除を故意にサボっている、明らかに化粧をしている、などの事実に遭遇したとします。そのとき、どのような対応をしますか?あいつはああいうやつだから、と無視をしてはいけません。「そういうことをしているのはなぜ」と問いかけたり、ゆっくりと時間をとって落ち着いた雰囲気で生徒と話をしましょう。決して、見て見ぬ振りをしてはいけません。生徒の心には「休み明けの変わった自分を見てほしい」とする意識があるものです。生徒とかかわるきっかけをつかみつつ、粘り強い対応を続けていきましょう。生徒個々の状況に応じて、生徒と教師との新たな関係を築いていきましょう。
3.生徒のかかわりを止めない
コロナ禍の今、なかなか生徒が学校にきてかかわることが出来なくなっている。しかし、オンラインだからといっても学びを止めてはいけない。学習支援システムやグーグルから提供されているサービスを利用し生徒と教師、または生徒同士の関わりの環境を準備していきましょう。Google meetがあれば話すことができます。jambordがあれば意見交換ができます。そのほかにも学校で契約しているオンラインの学習支援システムがあれば授業もできます。環境や状況に文句を言うのではなく、その中でも自分たち教師にできることを考えて実践していきましょう。
以上3つの対応についてでした。
作成した行事予定が次々に意味をなさなくなってきています。「例年通り」が全くもって機能していません。そんな中ですが、小さいことからでもできることを考えていきましょう。2学期も一緒に頑張ばろう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。