学級担任をもっていると年に数回三者面談があります。
今は,コロナウイルスの影響で減ってきてはいますが,必ず年に1回はあります。
また,中学校三年生ともなると毎学期三者面談を行います。
僕は,そもそも人と話すのが得意ではないので,この三者面談がほんっとうに嫌でした。
正直な話,毎年この三者面談で少なくとも一人からはバッシングを受けます。ナンテコッタ。
1~5年目までずっと,「全員うまくいった!」という経験はありません。
それでも,先輩の先生からアドバイスをもらいながら数をこなすうちにコツみたいなものもわかってきました。
今日は,私の経験から三者面談の内容や進め方を紹介していきたいと思います。
三者面談の目的
三者面談とは,その名の通り,三者(保護者・子ども・教師)で行われる面談です。時には,保護者の方がもう一人来たり,特別支援の先生も入ったりして四者面談になることもあります。
三者面談をする大きな目的は,家⇔学校での情報の交換です。保護者は家では見せない学校での生活を教師は学校以外での様子を知ることができます。学校ではやんちゃな子が,家では幼い弟妹の世話をしていたり,家では家事を手伝ったりしない子が,学校ではめちゃくちゃ働き者だったりなど保護者と教師とでその子の見方が違う場合があるので,情報の交換はとても大切です。
三者面談の時間
三者面談の時間は10~15分です。ある程度時間は決まっていますが,保護者によっては話が尽きずに時間がオーバーしてしまうこともあります。
僕は,話すのが苦手なので,用件だけ済ませたら,とっとと終わりにしています。無理に話をしようとして空回りしてしまうことがとても多いんです!
ただ,三年生になると,進路の話がメインとなるので,15分でもギリギリになってしまうこともあります。前もって何をどの順番で話すかを決めておくことが大切です。
三者面談の主な内容
多くの学校では,三者面談で話すおおまかな内容は学年ごとに統一されていると思います。基本はその内容に沿って進めていけば大丈夫です。
三者面談で話す内容は大きく分けて生活面と学習面があります。
中学校一年生は生活面中心,中学校三年生は学習面中心,一年間の中でも1学期では生活面中心,3学期では学習面中心というように,第何学年か,いつの時期かによって話す中心内容が変わります。
話す内容は以下ような感じです。
生活面 | 学習面 |
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|
この中から,組み合わせてどんな内容にするか決めていきます。
生活面でも学習面でも具体的な話をすると保護者の方々は喜びます。
具体的というのは,その子用にカスタマイズされた話ことです。
特に,1学期の三者面談のときには,その子を学校の様子からできていることや褒められることを積極的に話すことをおすすめします。
三者面談の事前準備
三者面談では事前の準備がめちゃくちゃ大事です!
正直,準備さえうまくいけばあとはその場の勢いで何とかなります。
ここでは,おすすめの事前準備を紹介していきます。
一覧はこちら
- 成績の確認
- 友人関係の確認
- 褒めポイントの確認
- 二者面談
それぞれ見ていきます。
成績の確認
三者面談は学期末に行われることが多いので、通知表の成績を見ながら『授業への取組』『定期テストの結果』の確認を行っていきます。
授業への取組
中学校になると、教科担任制ですから担任であっても全ての教科の様子を見ることはできません。そのため、前もって授業に出ている先生方からその子の様子を聞いておきましょう。
特に、関心意欲の成績にCが付いている生徒に対しては、説明を求められることがありますから、十分に説明できるようにしておきましょう。
↑のようなチェックシートをクラスに置いておき、授業の先生にチェックしてもらいます。
ここに名前が挙がった生徒について担当の先生に聞き取りをしておくと、話しやすくなります。
定期テストの結果
中学校と小学校との大きな違いは定期テストがあることでしょう。中学校によっては単元テストで代用している学校もありますが、多くの学校で定期テストを実施していると思います。
このテストの個票をもとに、5教科合計で何点を目指すのか、どの教科で何点ずつ取りたいのか、そのためにどのような勉強をしていくのか、といったことを生徒と共に決めていくと生徒のやる気にも繋がります。
テストの結果については、保護者の方も関心がかなりあります。面談の場で一緒に目標を決めていくことで、保護者の方を安心させてあげましょう。
また、三者面談をしていると
という方が中学校1年生から3年生までよくいらっしゃいます。
勉強のしかたは人それぞれ合う合わないがありますが、先生が「勉強のしかた」を学んでおくとアドバイスができます。おすすめは下の2冊です。
左の最短の時間で最大の成果を手に入れる 超効率勉強法を学級文庫に置いている先生は結構いますが、右の実験心理学が見つけた 超効率的勉強法: ~復習はすぐやるな! 思い込みで点数アップ!~を置いている先生は見たことありません。イラスト付きで面白いしためになるのでおすすめです。
友人関係の確認
1学期の三者面談では、学校でどのような友人関係を築いているか気にされる方も多いです。学校での友人関係にはざっくりとでもいいですから、誰と誰が仲が良いのかということは把握しておきましょう。
特に、友人関係はこじれるとケンカやイジメに発展する場合があります。
教員経験が浅い先生が「あれぐらいなら大丈夫だろう」で判断してしまうのは危険です。少しでも心配がある友人関係を築いている場合は、保護者に隠さずにお話しできるように準備しておきましょう。
褒めポイントの確認
三者面談では、必ず生徒のことを褒めてあげましょう。保護者の前でその子を褒めてあげることはとても大切です。
中学生になると、家で保護者と話さなくなる子が多くなります。そうなるとその子がめちゃくちゃ良いことをしていても保護者は知りません。だから、どんな小さな事でもその子のことを褒めてあげると保護者も安心しますし、生徒も嬉しくなって、面談以降の生活態度もよくなります。
面談で褒めることは、メリットはあってもデメリットはないのでやることをおすすめします!
そのため、日々の生活で良いところを見つけたら忘れずにメモをしてストックしておきましょう。
このメモは学級通信にも使えますし、通知表をかくときにも使えるので汎用性がバリ高です!
二者面談
これが個人的には一番大切だと思っています。
三者面談をする前に、生徒と二者面談を行います。
三者面談で話す内容(学習面や生活面)を二者面談で生徒に話してしまいます。そのときに、自分が思い違いをしていた場合は修正することができますし、生徒達も三者面談に安心して臨めます。
僕自身、中学校時代の三者面談は担任の先生にどんなことを言われるかが恐ろしかった記憶があります。面談中に、高校入試の面接のようなことを聞かれて固まってしまったこともあり、軽くトラウマです。
ですから、前もって、クラスの生徒の前で「こんなことを聞くよ」と話し、さらに二者面談で詳しく話を聞いてから三者面談に臨んでいます。
そんな時間ないよ!
という方もいるかもしれません。
そんな方には、生徒達に朝の会や帰りの会で
1学期に学習面と生活面で頑張ったことを話してもらうから、考えておいてね。
と言うだけでもOKです。
こうするだけでも、効果は抜群です!
三者面談の進め方
それでは、最後に三者面談の進め方を見ていきましょう。
大まかな流れとしてはこんな感じです。
- あいさつ
- 生徒からの話
- 担任からの話
- 保護者からの話
- 心配なことや気になっていること
- 最後に
それぞれ見ていきましょう。
あいさつ
保護者と生徒が入室する前は、廊下で待ってもらいますので、廊下にはイスを並べておいておきます。
また、その際に、ホワイトボードに来校の御礼や話す内容を書いて掲示しておくと良いでしょう。
保護者と生徒が入室したときには、笑顔であいさつをして迎えましょう。
今はマスクで顔が隠れてますから、ハッキリとした声であいさつすると効果的です。
また、一学期の三者面談では、自己紹介をするのも忘れずに!
生徒からの話
あいさつが済んだら、三者面談スタートです。
担任から話を始めるのではなく、あくまで主役は生徒であることを意識して、生徒に話をさせます。
ここで、事前準備が生きます。
事前準備で学期の振り返りを考えてもらい、その内容を生徒の口から話してもらいます。
二者面談もできていれば、担任はその話の内容を予測しながら聞くこともできます。
そして、生徒から
1学期は忘れ物が多くなってしまいました。
国語は得意で点数も取れましたが、数学が難しいです。
という話をさせてから、その話題について担任の話をしていきましょう。
生徒に先に話をさせることで、的外れの確率を下げ、さらに先生自身も話す内容に困らなくなります。
こちらも参考にしてください
【時短】あっという間に感じる三者面談の戦略 |
担任からの話
生徒の話が終わったら、次に担任からの話です。
生徒の話にコメントするように学習面と生活面の話をしていきます。
担任として、「ここを直してほしい!」ということを早く言いたい気持ちもわかります。
しかし、まずは、褒めることを忘れないでください!
褒める話と注意の話はハンバーガーになるようにしましょう。
どういうことかというと、注意したいときには、その前後にその子を褒める話をします。
褒める→注意→褒める
ちょうど「注意」が「褒める」にはさまれているのでハンバーガーみたいですよね。
また、「注意」するときも、言い方にコツがあります。下の①②を見てください。
①「(問題行動)をされると困るので直してください!」
②「(問題行動)をしてしまうとお子さんが後々不利になってしまいます。担任としてそれがとても心配です。」
どうでしょうか、受け取る印象が全然違いますよね。
①は生徒と先生が相対していますが、②は生徒と先生が同じ方向を向いていますよね。
このように、あくまで生徒の立場に寄り添って(見えるように)伝えることを意識すると、保護者に反発されずに「注意」を伝えることができます。
保護者からの話
ここまでは、学校生活についての話がメインとなっていました。
保護者の方に家での様子を聞きます。
話を聞くときには、傾聴を意識して真剣に話を聞きましょう。
心配なことや気になっていることの確認
保護者の方が心配になっていることや気になっていることを確認します。
イジメについてや学校への対応など様々な話が出てくる可能性があります。
ここで出てきた話について、自信をもって答えられるようなら答えますが、そうでないなら即答はせずに、一度話をお預かりして後日伝えるようにします。
下手に話して、それが間違っていたとなると学校への不信感にも繋がります。
特に、イジメの問題は担任一人で抱える問題ではないので、必ず学年で共有するようにしましょう。
最後に
最後に、
「どんなに小さいことでも、気になったことがあればいつでも言ってください。直接連絡頂いてもかまいませんし、お子さん通して聞いて頂いても構いません。」
と言って終了です。
終わりも最初と同じく、ハッキリとした声であいさつをして見送りましょう。
まとめ
以上三者面談の内容、準備、流れを紹介しました。
三者面談は事前の準備がとても大切です。
しっかりと準備をすることで、保護者からの質問にも素早く回答することができます。こうした積み重ねが、保護者の方の安心感にも繋がります。
しかし、間違ったことをお話ししてしまうと不信感を抱かれてしまいます。
間違うよりかは、正直に「わかりません」と言った方が何倍もいいです。
子どものためという姿勢が伝われば保護者も味方になってくれます。
誠実な対応を心がけていきましょう!
最後まで読んでいただきありがとうございました。