教員採用試験に合格し、4月から中学校に赴任。
といっても、講師などで経験がない場合、一体何から手をつけたらいいのかさっぱり分からない人も多いのではないでしょうか?
教員は不思議なもので、初任者研修などあるものの、一般企業の研修等と異なり、まずはいきなり現場に放り込まれます。
昨日まで大学生だったのに、あいさつもそこそこにいきなり職員会議。そこで自分の校務分掌が知らされます。
「あぁ、これが校務分掌ってやつか~」と思う間もありません。
これまで、大学の講義の中だけの話だったのがいきなり自分に関係がある話になります。
つまり、他のベテランの先生と同じように扱われるということです。
僕は教育実習を2回、小学校のボランティア活動にも行っていましたが、まるで次元が違います。
後々、教育実習もボランティアも現場の先生からしたら、ただの「お客様」だったんだなと思いました。
文字通り右も左も分からない状態で、4月は本当に苦しかったのを覚えています。
そこで、今回の記事では初任者が最終的には信頼される教師になるために、まずは何から取り組めば良いのかをまとめてみました!
1.とにかく授業準備を!
まずはこれが絶対に必要になります。
1に授業、2に授業、34がなくて5に授業です。
校務分掌は人によって違います。
同じ初任者でも全く違う分掌を持たされます。当然部活動も違います。
それらの仕事は違っても、絶対にあるのは授業。
学校によって持ち時数は異なりますが、自分が配属された学年はすべて持たされると思いましょう。
小規模校で学年クラスが少なければさらに他学年も持たされる可能性もあります。
初任者が一番苦労するのが授業準備です。
教員採用試験に合格したわけですから、それなりに教科の知識はあることでしょう。
しかし、教えるとなるとやはり別。
塾の講師をしていたとしても、数人に教えるのと30人近くの生徒に教えるのとでは全然違います。
そもそも、塾にはお金を払っても勉強をしに来る意欲の高い子が来ますから、その時点で違います。
教育実習でも一時間の授業を作ることにもだいぶ苦労したのではないでしょうか?
それが本採用となると持ち時数は週に20時間近いことも…。
僕は2020年度は授業だけで週に24時間(週4コマ×5クラス+道徳・学活・総合×2)でした。
それだけの授業の準備を毎週毎週し続けなくてはいけないのです。
ここに他の分掌の仕事や部活動の仕事などが加わりますから、早め早めに準備をしていかないと大変なことになります。
さらに、初任で担任も任されたら仕事は体感2倍は増えます。
僕の初任のときは、自分含めて二人新卒新採がいましたが、二人とも担任を持ちました。
個人的には初任者は担任ではなく副担で授業に専念すべきだと思いますが、学校事情でどうしようもないことも多いです。
では、授業準備をいつやるか?
次の日の準備だけやっておけばOKというのはありえません。
行事の準備や生徒指導が入ったら授業を準備する時間なんてありません。
最低1週間分は授業を作っておくことをおすすめします。(実際には足りませんがここがギリギリ生きていける最低ラインです。)
初任者の場合は配属されたらすぐに会議、会議で始業式に突入してしまうと思います。
正直学校にいる間は毎日何かしらあるので暇な時間がありません。
心ある学年主任の下に配属されることができれば「授業準備していいよ」と言われるかもしれませんが、こればっかりは運です。
少しでも時間があったらとにかく授業準備を進めましょう。
また、教科にもよりますが、同じ教科の先輩がいたら授業の作り方を聞きましょう。
自分一人でやらないことがこれからの教員生活でかなり大切なことになります。
最初から完璧にできる人なんていませんし、出来ると思っているならおこがましいです。
最初は、素直に先輩に授業のやり方をアドバイスしてもらいましょう。
可能であれば昨年度使用したプリント等の教材を譲ってもらうといいと思います。
ちなみに、僕の授業の作り方です。もしよければどうぞ。凡人による授業の作り方
4月には難しいと思いますが、まとまった休みに入ったらある程度の授業準備はほぼほぼ終わらせておきましょう。
初任者の方々は、4月は先輩にアドバイスをしてもらいながら乗り切りましょう。
この期間で少しでも授業の作り方を学んでおきます。
5月に入るとGWがあります。このGWに少なくとも5月分の授業準備をしておきましょう。
6月には期末テストあると思うので、過去のテストの形式も見ておくと慌てずに済みます。
僕は、期末テストは最低一ヶ月前には作り終えているようにしています。テストを作っておくと、授業でもテストを念頭に置きながら指導することが出来るからです。
授業ノートを作ろう
授業準備はノートにまとめることをおすすめします。
僕はプリントやパワーポイントで授業をしてきましたが、何を使うにしても授業ノートは作っておいた方がよいと感じています。
板書や留意点、発問などを書き留めたノートは自分の努力の結晶です。
3年続けば、そのノートを参考に授業を組み立てることができます。
もちろんそれをそのまま使い回すのは微妙ですが、うまくいかなかった部分を修正したり、プラスしていったりすればずいぶんと楽になります。
しっかり計画を立てて授業準備をしていきましょう。
信頼される教師の第一歩
授業がしっかりとできない教師は生徒からも保護者の方からも信頼されません。
よい授業をするためには入念な準備が必要です。
よい授業というのは簡単に答えられるものではないかもしれません。
しかし、僕が思う初任者の方々にとってのよい授業とは、先生が自信をもった授業です。
教え方がつたなくてもかまいません。
素晴らしい問題でなくても大丈夫です。
まずは50分の授業を自信をもって行うことが最初の一歩です。
そのために、授業の準備をしっかりとして信頼される先生を目指していきましょう。
2.とにかく生徒と関わろう!
初任の先生が他の先輩の先生方と比べて勝っているのは生徒との年齢の近さです。
ストレートで学校に勤務すれば中学校3年生と10歳も違いません。
これはコミュニケーションにおいてかなりのアドバンデージです。
このアドバンデージを有効活用しない手はありません。
信頼される教師になるためには、生徒と「コミュニケーション」をしっかりと取れるようにならなくてはいけません。
しかし注意しなければいけないのが、友人とのコミュニケーションではないということ。
「教師」と「生徒」のコミュニケーションを取れるようにならなければいけません。
線を引くべきところは引き、寄り添うところは寄り添う。
なかなかに難しいそうですね。
個人的には頭で考えても分からないものは分からないので、どんどん生徒とコミュニケーションをとっていきましょう。
自分の気の合いそうな生徒だけではなく気の合わなそうな生徒ともコミュニケーションをとりましょう。
担任をもったら、自分と気の合わない生徒とも関係を築いていかなければなりません。
そのときに、初めてコミュニケーションをとろうとしてもうまくいきません。
失敗が許される初任のときに幅広く生徒とコミュニケーションをとっていきましょう。
意外と、自分が中学生のときには絶対に関わらなかったタイプと意気投合することもあります。
僕は女の子としゃべるなんて全然出来なった人見知りでしたが、初任から3年目までは自分から話しに行くようにした結果、どんなタイプでも話せるようになりました。
どんな話をすればいいの?
話す内容は、何でもいいと思います(もちろん不適切なものは除きます)。
「どんな本が好きなの?」
「勉強してる?テストが近いよ。」
など何でもいいので、多くの生徒と関わるようにしましょう。
アドバイスとしては、生徒が身に付けている小物をネタにすると話しやすくなります。
なぜなら、当たり前ですが、自分の嫌いな者を身に付けている人なんていませんよね。
生徒が身に付けている物、例えば筆箱のキーホルダーやアイドルの下敷き等について聞いてみると生き生きとして話してくれます。
それでも、うまくいかないことが絶対に出てきます。
全く会話が盛り上がらない子、なんでだかよく分からないけれども心を閉ざしてしまう子、逆に距離が近くなりすぎてしまう子、もちろんトラブルになったら自分で抱えずに学年の先生に報告が必要になりますが、いろいろな失敗も財産です。
多くの生徒と関わってみましょう。
この日常のコミュニケーションを上手に取れるようになってくると、生徒指導もうまくいくようになります!
信頼される教師になるために、日常のコミュニケーションを大切にしましょう。
3.先輩の先生の学級活動を見に行かせてもらおう!
学校事情から、いきなり1年目から担任を任せられる人もいますが、多くの人が副担任からのスタートではないかと思います。
この副担任のときに準備ができると来年度以降、自信をもって担任に臨むことができます。
学校にいれば他の先生の朝の学活や帰りの学活なんて、いくらでも見ることができると思っていませんか?
実はそんなチャンスは自分で作らないとありません。
2年目以降、多くの人は担任を任せられることになると思いますが、自分のクラスをもっていたら他のクラスの学活を見せてもらうことは難しいですよね。
なぜなら自分が学活をやっているときの他のクラスも学活をやっていますから。
だから、1年目は他の先生方の学活を自分から見に行かせてもらわなくてはなりません。
「見に行っておいた方が良いよ」と言ってくれる先輩もいますが、そう言われる前に自分から見に行かせてもらいましょう。
登校指導や下校指導などももちろん大切ですが、それよりも自分の未来のためにいろいろな先生の学活を見ておくことをおすすめします。
一人の先生ではなく、いろんな先生の学活を見させてもらい、翌年以降に担任になったときに困らないようにしましょう。
可能であれば他学年の先生の学活も見させてもらうと良いと思います。
ただし、当然突然行くのは失礼です。
事前にお願いをしてから見に行くようにしましょう。
先生の中には「いつでもおいで」と言ってくれる方もいらっしゃいます。
先生の中には素晴らしい学活をやっている人もいれば、正直「こんなもんか」と思うような学活をやっている人もいます。
どちらにせよ、参考になることがあれば自分に取り入れればいいですし、そうでなくとも「こんな感じでも上手くいくのか」とハードルが下がり、自信に繋がると思います。
さらに余裕があれば、道徳や総合の授業も見学しに行きましょう。
特に道徳は、同じ題材でも先生によって発問や導入の仕方が変わりますので、同じ題材でも複数の先生の授業を見に行けると勉強になります。
道徳の授業では、普段の教科での子ども達の様子と全然違いますから、見ているだけでもとてもおもしろいですよ。
自分でやっていると自分のことは中々客観的には見られません。ですが、他人のやっていることは客観的に見ることができます。
良いところも悪いところも全て自分の力に変えていきましょう!!
まとめ
以上、初心者の方がまず取り組むべきことを3つまとめてみました。
せっかく厳しい試験を乗り越えて先生になったのだから、信頼される先生になりたいですよね。
信頼される先生になるための第一歩として、分からないことは素直に聞くようにしましょう。
最初からできる人なんていません。今は一つずつできることを増やしていく時期です。
世間で言われているように先生の仕事はかなりの量があります。
何でもかんでも一人でやろうとするとかならずパンクします。
上手に周りの助けを得られるよう、一年目はその基盤作りだと思って真摯に取り組みましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。